この先10年をさらに生き抜くために~WebSig会議Vol.36「2018年に向けたデジタル、Web受託企業の攻めどころ、守りどころ」終了報告

モデレーターの馮です。こんにちは。

12月9日、1年ぶりとなるWebSig会議Vol.36「2018年に向けたデジタル、Web受託企業の攻めどころ、守りどころ」を開催しました。

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会場の協力はグループウェアCybozuやKintone,そして,時代に即した働き方改革を積極的に進め注目を集めるサイボウズさんの東京オフィスです。ありがとうございました!

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本イベントはWebSig24/7が設立当初から取り上げ続けてきたテーマの1つ,Web受託ビジネス。これまで2008年,2011年と同様のテーマでの開催をしてきており,今回,改めて,2017-2018年版のものとして開催いたしました。

2008年以降の10年を振り返る

オープニングはWebSig代表和田と馮両名により,WebSig24/7の紹介,そして,イベントの基礎情報として2008~2017年の10年間について,とくにIT/Web/インターネットに関するトピックについて振り返りました。

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第一部スピーカーセッション:三者三様のWeb受託ビジネスのこれまでとこれから

オープニングに続いて,まず,以下3名によるスピーカーセッションが行われました。

  • 中川 直樹(株式会社アンティー・ファクトリー)
  • 阿部 淳也(株式会社ワンパク)
  • 山道 正明(株式会社コンセント)
 

社会的変化に対応しながら二極化の時代を生き抜く

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第一部トップバッターは、株式会社アンティー・ファクトリー代表取締役/アートディレクターの中川直樹氏。自身はこれまでずっと「ホームページ」をつくることを意識してきた中で、その前後に関わるもの、内容に取り組む結果、単なるホームページ制作だけではない、ビジネス領域の拡大が行えてきたとのこと。軸をぶらさず、クライアントと接しながら、これまでの事業を拡大してきたとのこと。

今後は、クライアントの成長やさまざまな技術革新により、周辺の変化が一層大きくなり、結果としてビジネスとして二極化が進んでいくと予想されていました。そして、その変化を感じ対応していくことがWeb受託企業にとって必須となり、生き残るために必要なこととして締め括りました。

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(中川さんからのメッセージ)
 

「2018年に向けたデジタル、Web受託企業の攻めどころ、守りどころ」を終えて。

過去10年を振り返ると、2007年にiPhoneが発売され、2008年にはAndroidのOSがオープンソフトウェアとして公開されました。スマートフォンの誕生により、SoLoMo(SOcial/LOcal/MObile)ソロモの概念が生まれマーケティングを考える上での消費者購買行動もAIDMAからAISASへと騒がれていたのもこの頃です。
消費者目線の行動心理、消費者コミュニティを良い方向で盛り上げることが重要視され、そのため、Web関連制作も消費者との協働・共創が重要視されていました。

そして、そこから10年が経ち、消費者も、情報の洪水の精査も必要となると同時に改めて、お墨付きの本質、本物の情報と価値を求めるようになり、情報発信側も、きちんとしたブランド価値を情緒的に、または丁寧に分かりやすく、伝える必要が出てきました。

また、2010年のiPad発売以降、劇的にタッチパッドディバイスも普及してゆき、情報発信側は改めて膨大なデータの整理、汎用性も考慮し、また、消費者UXの設計とともに企業内の仕組みの整理、社員の教育を含めたサービスデザインの概念の時代に突入しました。
Web関連制作は、消費者との関係性以上に発信側(企業、ブランドなど)との協働・共創、ICTをベースとした戦略、戦術を一緒に考えることも多くなってきています。

これらの流れ、当日の皆さんのセッションからも、この先も、更にWeb受託ビジネスは無くならないだろうし、仕事のニーズはより一層、様々な広がりを見せていくことも予想されます。

しかしながら、受託ビジネスといえど、時代にあった対応、守備範囲を持つこと、柔軟性をもつことは大切であり、時代に求められる立場であり続けることが、改めて大切なんだということを実感したイベントでした。

ありがとうございました!!

アンティー・ファクトリー
中川 直樹



 

日本の未来と海外へのアプローチ

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二番目に登場したのは、以前、WebSig24/7のモデレーターとしても活躍し、現在は株式会社ワンパク代表取締役 クリエイティブディレクターを務める阿部淳也氏。阿部氏は前職を含め、クライアントに対し一貫して「戦略から一緒に取り組む必要性があること」を訴え続けてきた結果、その成果がようやく見え始めてきたとのこと。単なるWeb制作だけではない、ビジネス戦略のパートナーとしてクライアントと取り組めるケースが増えてきているそう。一方で、人材確保については非常に悩んでいる点を挙げ、中途採用の場合はどうしても大手やクライアント(事業者側)に給与他で叶わない面があり、結果として新卒採用の道を選び始めているそうです。

もう1点、「これからの日本」という社会要因をふまえ、今は国内戦略だけではなく、海外とくにASEANに向けて事業を拡張しているとのこと。その第一歩としてベトナム支社を設立するなど、社会的変化を意識しながらこの先5年、10年を見据えている点が強く伝わってきたのが印象的でした。

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組織での共有を深めながら守りどころを攻めどころに

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第一部の最後は、株式会社コンセントでプロジェクトマネージャーを務める山道正明氏。前の2名が経営者視点での発表を行っていた一方で、山道氏は管理職ではありながらも従業員としての意識を混ぜながら発表していたことで、良い対比が行える発表だったと感じています。

山道氏はまず同社の得意分野の1つでもあるリサーチの手法をこの発表のために行い、自社社員にコンセントという会社についてリサーチし、現状と変化について発表しました。株式会社コンセントはWeb制作・開発に加えて、グループ会社として出版部門やイベントスペースなども持っており、そうした複合体として時代に合わせた取り組みができる点が強みの1つであると発表しました。

また、クライアントから安心感を持ってもらえることが強みである一方で、その部分について継続してもらい続けるためにはどうするか、その点を課題の1つと認識しながらも、それらを社員全体で共通認識していくことがこれからのビジネスを続けていくために必要ともコメントしました。

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他にも各スピーカーごとに各社の2011年と2017年のビジネス領域の変化や人材の変化についても細かく発表され、継続している企業というのが、売上や利益を拡大して成長している裏側に、自社の中に成長に向けた変化を意識的に取り組んでいることがわかった発表となりました。

さまざまなキャリアのパネリストが語る、Web受託業界の生き残り戦略

続いて、第二部では株式会社ソニックジャム代表取締役クリエイティブディレクター村田健氏(写真左)と株式会社コパイロツトプロジェクトマネージャー/Producer 堀田顕人氏(写真左から2番目)をゲストパネリストとして迎えたパネルディスカッションを開催しました。

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また、WebSig24/7モデレーターからは安藤・足立両モデレーターも参加し、それぞれ異なる立場から見たWeb受託ビジネスと、とくに個人としてのキャリアについてさまざまな角度からのディスカッションが進みました。

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10年前と比較して、とくにスマートフォンの普及は大きなファクトであるとしながらも、なぜパネリストたちがこの業界に居続けられたのかなど、興味深いコメントを聞くことができました。一方で、一方で、MCの立場で各者のコメントを聞いて感じたのがまだまだ答えのある業界ではないということでした。またこの先も答えが見つからない可能性は高いものの、自分たちが自発的に動いていくこと(ときには動かないという選択を自分で決めること)など、つねに当事者意識であり続けることが、Web受託ビジネスに身を置く立場の人間が継続していけるのではないかと感じました。

一方で、経営者の立場としては従業員全員が自発的に動けるとは限らないため、そうしたさまざまな従業員と働く仕組み、ときに雇用体系を変えていくことも求められるなど、非常に現実的かつこの先のヒントが多数散りばめられたパネルディスカッションとなりました。

懇親会&忘年会

イベント終了後は、そのままサイボウズさんのオフィスを借りて懇親会&忘年会を実施しました。

途中、アルファサード株式会社代表取締役野田純生氏による飛び込みLTが開催され、先日開催されたPowerCMS Conference 2017の内容や同社の新プロダクトについて発表が行われ、こちらもまた来場者から非常に注目を集めていました。

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良いお年を、そして来年もWebSig24/7をよろしくお願いいたします

この会議の冒頭でもお伝えしたとおり、最近のWebSig24/7の活動頻度は一時期に比べて少なくなっています。ただ、それは「イベント」という形だけが今のWebSig24/7の求める答えではなく、この先5年、10年をどのように自分たちが考え行動し、ビジネスとして実践していくか、まさに悩みながら取り組んでいる最中だからでもあります。

またすぐにイベントを開催するかもしれませんし、しばらく開催がないかもしれません。ただ、興味を持っていただている皆さんと、引き続き、Webやインターネットの世界を良くしていけたらとモデレーター一同考えています。

少し早いですが皆さま、良いお年を。

 
※スピーカーからのコメントや資料については公開できるものについては準備でき次第、順次公開していきます。

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