[終了報告]芝浦工業大学&WebSig24/7プレゼンツ Web屋から見たIT業界・Web業界・ネット業界の働き方とキャリアの作り方

モデレーターの馮です。こんにちは。

2015年も残り1ヵ月を過ぎました。早いですね。

さて,先月末,WebSig24/7として初めてとなる学生(大学生・大学院生)向けのイベント「芝浦工業大学&WebSig24/7プレゼンツ Web屋から見たIT業界・Web業界・ネット業界の働き方とキャリアの作り方」を,芝浦工業大学との共催で開催いたしました。

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ここではその模様をお届けします。
 

オープニング~開催にあたって

まず,今回の企画をサポートしてくださった芝浦工業大学システム理工学部教授で,同校の教育イノベーション推進センターキャリア教育部門長を務める長谷川浩志教授から開催にあたっての挨拶が行われました。

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長谷川教授は「芝浦工業大学は理系の単科大学の中では安定していると認識しています。また,実際に中堅的な技術者を多く排出する大学というイメージがあり,実際,今の学生にとっては大企業の中堅的なポジションで仕事をしたいという意向が感じられます。
そこで,今回は卒業生に協力してもらって,IT/Web業界に対して,芝浦工業大学および理系の中堅大学の学生がどのようにアプローチすればよいか,生の声を聞かせてもらえればと思っています」と述べ,イベントがスタートしました。

開催の背景

続いて,WebSig24/7代表の和田より,WebSig24/7の紹介と開催の背景が行われました。告知ページにも書いてあるように,開催の背景は"IT/Web業界という業界の複雑さ・曖昧さ"です。

「IT/Web業界というのはどんなところなのか。実はIT/Web業界を正しく分類,整理することは,WebSigモデレーター内でも一般論としての正しさを見つけることはできませんでした。業界に長くいる私たちですら難しいことですから,これからこの業界を目指す学生の皆さんにとっては非常にわかりにくいもので実情を知りたいというと思うのではないでしょうか」といった仮説・問題意識から,今回のイベント開催に至りました。

Web/IT業界でさまざまなキャリアを積んでいる登壇者の履歴書

続いて,今回のスピーカー4名とモデレーターを務めた僕の計5名が,それぞれの履歴書,とくに学生時代に学んだことと自身のキャリアについて,学生時代の仕事に対する意識や就職先という観点を中心に自己紹介を行いました。

スピーカーは,日本マイクロソフト株式会社の春日井良隆さん,株式会社ソラコムの片山暁雄さん,そしてWebSig24/7モデレーターからは,インテリジェントネット株式会社の和田,BASE株式会社の藤川,馮の計5名です。

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いわゆる転職セミナーとは異なり,豊富なキャリアを持つメンバー自身が学生時代に戻った感覚で話した自身のキャリアというのは大変興味深く,また,それぞれがIT/Webの世界に踏み込んだ経緯が多様だった点が印象的でした。

5名に共通しているのは,就職活動をした当時はまだまだ日本のインターネット(ブロードバンド)がこれからという時代だったこと(最年少の片山さんが大学を卒業したのが1999年)。

それでも,バブル時代を経験している春日井さん,就職氷河期に入った時代の残りの4名といった対比であったり,外資の経験の有無やスタートアップへの転身,起業,入社から転職経験なしなど,5者5様の話は学生にとっても参考になったのではないかと思います(また,登壇者5名中3名は芝浦工業大学出身だった点も,今回の参加者の大半を占めた芝浦工大生には気付きがあったはずです)。

特徴的だったのは,5名とも思い通りの就職活動ではなかったこと。しかし,社会に出てからは,所属先あるいは転職のタイミングにIT/Webの影響が大きく,そこで培った経験が今につながっているというのは,まさに今のネット社会が持っている「参加すること」「発信すること」といった双方向性のメリットではないかと感じました。

僕自身がここで感じたのは,自分も含め,先に思い描くことと違う状況に直面しても,自分の行動で思い描く方向に勧めるのではないか?という仮説です。これはIT/Webのように,歴史の浅い業界で,さらにこの先も変化が起こりうる可能性が高い業界では,とても大事なことだと思っています。

今のIT/Web業界って?

それぞれの自己紹介に続いて,登壇者によるIT/Web業界の分類が始まりました。前述のとおり,開催の背景はIT/Web業界の分類がとても難しい中で,まず,新社会人となる学生たちにこの業界に興味を持ってもらうことでした。

ここでは,IT/Web業界を

・ユーザ企業
・受託企業
・課金・EC企業
・メディア・広告企業
・広告代理業
・インフラ企業
・ハードウェア企業

の7つの分類で話を進めました。この分類と配置については議論の余地はあるものの,この線引の難しさ・曖昧さというのはまさにIT/Web業界が持つ特徴でもあり,また,可能性にもつながっています。

その中で学生に向けた1つのメッセージとして,春日井さんより「その企業が何をやっているのか?それを知りたければ,(公開企業であれば)まず決算報告書を見ることが大事」と伝えられました。たとえば,AppleはMacやiPhone,iTunesなどハードからソフトまで扱っているが,それぞれの比率がどのぐらいなのか,そこで会社のビジネスに対する重要度を見ることができます。

またモデレーター藤川から「"モノを作りたい。コードを書きたい"という欲求があるのであれば,会社を限定しなくても今のIT/Web企業ではたいていプログラマーという職種がいる。ただし,自分が考えてコードを書けるのか,仕様書通りのコードしか書けないのか。あるいは,もっと上位のレイヤで仕様書を作るだけ,要件定義をヒアリングするだけなど,その企業の立ち位置を見極めないと,自分が思い描く"コードを書きたい"という欲求とはかけ離れてしまう」と,"コード"という概念が持つ意味の広さを指摘しました。その上で「エンジニアであればコードを書き続けることが大切」とし,この点については同じくプログラマとして活躍する片山さんも同意していました。

片山さん自身はつねにプログラマであり続けたいという点で,今のソラコムに転職したそうで,「新しい技術を学ぶという意味ではスタートアップ企業に所属することは重要」と,転職・キャリアパスの作り方のヒントを伝えました。さらに「そのときの収入だけを考えるか,それか,その先の動向を考えるか。この判断をするのは自分自身なので,判断ができるようになるためにも,多くの人と接し,会話し,情報を得ることが大事です」と,伝えました。これは片山さんがオープンソースコミュニティを通じて得られた経験に基づいているそう。

さらに,登壇者が全員言っていたのが「お金を稼ぎたいだけのモチベーションではいつか続かなくなる」ということ。給料を得ることは大事な一方で,IT/Webの世界は自分が携わる業務がいきなりブレイクすることもあれば,逆にいきなり仕事がなくなる危険性もあるといった移り変わりの早い業界。こうした変化の早い世界にいることをまず意識し,「ただお金を稼ぐ」ではなく,「自分がした"何"によって対価を得られたのか」「その成果が期待(求められているもの)以上なのか」というところまでを考え,「変化に応じた仕事をする」「変化に動じずに対価を得る」ことを意識してもらいたいという,学生に向けたメッセージと言えそうです。

ワークショップではなく質疑応答で

非常に濃い時間のIT/Web業界分類が続いたあと,当初は参加者によるワークショップとして「行きたい会社,やりたい仕事」について話し合い,発表してもらう予定でした。しかし,時間的制約の他,学生にとって不明な点もあるとの声が上がり,そのまま質疑応答へ移りました。

質疑応答では

・Googleはどういう企業なのか?
・IT/Web業界では英語は必須なのか?
・時流に乗ることが大事なのはわかったが,どれを選べばいいのか?

といったような,まさに学生が"今"抱えている疑問や不安が伝わってきました。これについてもスピーカーを中心に答えを述べ,それぞれが理解を深めていました。

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イベントを終えて~学生に伝えたかったこと・学生から感じたこと

今回,WebSig24/7として初めて学生に向けたイベントを開催しました。繰り返しになりますが,開催の背景は「IT/Web業界のことを学生に知ってもらうこと。そして,興味を持ってもらうこと」でした。

その点では,とくに自己紹介など,学生の目線で理解できる部分では非常に伝わったと感じています。一方で,IT/Web業界の分類では,まだまだ「仕事」を実体験として経験していなかった学生が多かったため,正直伝えきれなかった感が拭えません。もっと正直に言うと不完全燃焼でもありました。これはイベント後にモデレーター同士で話した時にも上がった話題でした。しかし,アンケートの結果を見る限り,学生からは興味を持ってもらえたとの声が多数上がり,正直驚いた結果でもあります。

ぜひこの経験を元に,また改めて学生向けのイベントを開催し,これから業界のベテランになっていく自分たちと,これからの業界を作り上げていく学生たちとの接点を作り,より良い業界・働く環境を作っていきたいと考えています。

続いて,スピーカーお二方からのメッセージをご紹介します。

春日井さんからのメッセージ

「先日はお疲れさまでした。この先,どのような仕事に就かれるのか楽しみですね。希望が叶ったとしてもその先に幸せな人生が約束されているわけではないですし,希望通りにならなかったとしても,お先真っ暗というわけではありません。大切なことは,そこで与えられた自分の役割を果たすこと。できれば,周りの,何よりも自分が期待している以上の結果を出すこと。幸せな人生はその先にしかないと信じて今まで生きてきました。しょげてるヒマなんてありませんよ」
 

片山さんからのメッセージ

「卒業後に母校芝浦工大の校舎で講演ができるとは考えてもいなかったので,自分としては非常に貴重な体験となりました。私は芝浦枠としてお呼びいただくことができましたが,他のパネラーは業界を代表する方ばかりで,自分としてもキャリアの考え方や組織の考え方について,気付きがありました。お声がけいただいた馮さんはじめWebSigの運営の方々,芝浦の方々に感謝しております。

自分が就職する前にこういった話を聞くことはなかったので,もし逆に自分が学生だったらどのようなことが聞けるといいのか,と考えながら,今までの社会人人生で働くということに対して感じたこと,良かったこと,悪かったことなど話をさせていただきました。社会人1年目でコケた私ですが,それでもなんとか生き残れていますので,こういった話が多少なりともこれから社会人としてIT業界に行かれる方の参考になれば幸いです」

2016年に向けて

いよいよ2016年を迎えます。WebSig24/7では,来年も「WebSig行ってきた」でたくさんの方にお会いして,意見交換や情報共有をしていきたいと考えています。また、2015年お休みとなったWebSig会議の次のスタイルについても模索中。

さらに,今回実施した学生向けイベントはこれからもぜひ開催したいので,ご興味のある大学(学生の皆さん)がいらっしゃいましたらWebSig24/7モデレーター( info@websig247.jp )までお問い合わせください。同様に,IT/Web業界に飛び込んで間もない方たち(入社1~3年目)ともコラボレーションして,この先のIT/Web業界の仕事や働き方,未来について議論できれば嬉しいです。

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